神経の治療、根っこの治療って何してるの?

      2021/11/08

そもそも、神経の治療、根っこの治療って何?

あなたは、お口を開けているだけですから、

何をされてるかなんて見えないし、全然わかりませんよね。

では順番に説明しますね。

まず、虫歯が、歯の内部を流れている神経と血管に近くにまで、

達している場合、根っこの治療の対象になります。

こんな感じですね。

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

 

でも最近では、神経を抜く、ということはあまり行いません。

神経を保護するお薬で神経をガードして殺菌することで、

ほとんどの神経が助かるからです。

おうちで例えると、断熱材みたいなものでガードするんです。

しかし、最初から強烈な痛みでがあって、

汗かきながら歯医者にかけこんでくるような人の場合は、

残念ながら根っこの治療をしないといけません。

上の写真の患者さんの場合は、左の歯は助かりましたが、

残念ながら写真右の歯は、最初から痛みがひどかったので、

根っこの治療を行いました。

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

 

根っこの治療って、いったいどうやるんですか?

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

詳しく説明していきますね。

 

 

 

1回目 神経と血管を、根もとで切ります。

 

まず、痛くないように、麻酔をかけます。

そして、歯の上に穴を開けます。

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

痛そうな図でゴメンナサイ

あごの骨の中には細かい毛細血管と神経が流れていて、

それが歯の根っこの一番先から歯の中に流れ込み、

歯を育てています。

 

その細かな毛細血管と神経流れを、

根っこの一番先で、切り取ってしまう事を、

一般に 『神経を抜く』 と呼んでいるのです。

こんなふうに、針のようなものを差し込んで行います

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根っこの先で神経と血管を切ったわけですから

当然、出血してきます。そこを洗浄剤などで

何回も何回も、きれいに洗います。

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何回もきれいに洗ったら、水分を残さず吸引して、

神経と血管が通ってた道を乾燥させます。

イオン導入とか、殺菌にも種類が色々ありますが、

そこまでは知らなくても大丈夫です。

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完全に乾燥させたら、少量の消毒薬などを中に入れて、

上の穴を開けた所をいったんにふさぎます。

たいていの場合、ここまでを初日に行います。

 

 

 

2回目 根もとをよく洗って、消毒します。

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

2~3日後、また来ていただき、上のふたをはずします。

 

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

出血してないか、異常がないかを確かめて、

再度、内部をよくあらって、消毒します。

 

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

そして、よく乾燥させて、

消毒薬を入れて仮のふたをしなおします。

 

 

 

3回目 神経と血管の通り道を、封鎖して固めます。

 

また2~3日たったら来ていただいて、出血や異常を確認します。

そして、出血や異常がなければ、

元の神経と血管の通り道を完全に乾燥させて、

先のとがった封鎖材をぎゅうぎゅうに詰め込んで、

完全に封鎖してかためます。

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

そして、よぶんなところを切り取ります。 

こんなふうに、先のとがった封鎖材をぎゅうぎゅうに詰め込む方法や、

遠心力をかけてゴム状のものを根の先端まで詰め込む方法や、

垂直的に圧力をかけて根の先端まで封鎖剤を押し込む方法などなど、

根管充填と呼ばれる封鎖の方法には色々ありますが、

そこまでは理解しなくても大丈夫です。

封鎖剤を詰め込んだなら次はレントゲンです。

根っこの先まで封鎖されているのかを

レントゲンを撮って確認します。

レントゲンでは、封鎖材が、まっ白にうつり、

根っこを治療していない歯の内部は、黒くうつります。

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しかし、出血があったり、痛みや異常がある場合は、

2回目と同じように、洗浄、消毒、乾燥のみを行い、

根っこの中を封鎖することはありません。

 

 

 

 

4回目 歯の内部の補強材の型を取ります。

 

3回で根っこの治療が終わt他場合は、歯の内部を補強します。

そしてすっぽりと歯をかぶせていきます。

なんで、わざわざこれ以上、歯を削ってまでかぶせるの?

と思いますよね。

でもね、歯の根っこの先端で血管を切った以上、

もうその歯は生きていません。死んだわけです。

植物で例えるなら、神経のある歯は、生きてる木。

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

 

神経を抜いた歯は、死んで枯れていく木です。

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なので、あなたの歯も枯れて割れないように、

補強の意味で、かぶせる必要があるのです。

 

まず、歯の内部にはめこむ、補強材の型をとります。

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こんなの、口の中に入れたくないですよね。スミマセン。

この日は歯の内部の補強剤のための型を取って終わりです。

 

 

5回目  補強材をはめ込んで、かぶせ物の型を取ります。

 

だいたい1週間すると、こんなのができあがってきます。

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それを根っこを治療した歯の内部に

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しっかりはめこみ、まわりをきれいにトリミングします。

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

 

そして、きれいにトリミングした歯の型をとります。

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

 

また嫌な思いさせますね。スミマセン。

今回はここまでです。

 

 

6回目  かぶせ物をかぶせます。

 

また1週間くらいたつと、こんなのが、できあがってます。

神経の治療、根っこの治療って何してるの? 

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

 

それを、歯にかぶせて、

ハイッ! やっと、終わりです!

神経の治療、根っこの治療って何してるの?

 

 

 

 

どうですか? 順調にいっても、6回もかかるんです。

 

  『順調にいって』  です。

これが何本もあったらもっと長引きます。

そして、根っこの先から、

なかなか出血が止まらなかったり、

痛みがひかなかったり、

根っこの先が感染していて、

膿がたまってたりすると、

もう やっかいです。

上の2回目の治療を何回も何回もくりかえし、

なかなかそこから進まなくなります。

 

        これです

         ↓


2~3日後にまた来ていただき、上のふたをはずします。

出血してないか、異常がないかを確かめて、

再度、内部をよくあらって、消毒します。

そして、よく乾燥させて、

消毒薬を入れて仮のふたをしなおします。


 

 

ここの治療が、5回も6回も続いて長引く場合があるんです。

また、患者さんも忙しいんでしょう。

ここで治療が中断してしまって、数カ月たってしまうと、

せっかくきれいになっていってた根っこの中に、

じわじわと細菌やだえきが入り込んでしまい、

最初からやりなおさなくてはいけません。

かりのふたが全部取れて、食べかすが入り込んでいれば、

もう、最悪です。最初に戻るより時間がかかります。

でもね、根っこの先をきちんと治さないと、

残念ながら、次には進めません。

 

痛みがない、もしくは、あんまり痛くなくて、

何となく違和感だけが続いていたり、

根っこの先から膿や血液が出ている場合

 

これが、ややこしいんです。

まさに、この状況の患者さんが

 

『何をされているのかわからず』

『いつまで来たらいいの』

『あと、何回くればいいの』

という状態 に、なってしまうのです。

おわかりいただけましたでしょうか。

 

 

 

こんな歯が何本も何本もあったら、どうしよう?

 

考えただけで、ひっくりかえりそうになりますよね。

でもね、何もしないで様子を見ていても、

よくなることは決してありません。

根気よく頑張ってなおいしていきましょう。

 

 

 

 

 

 

今日はここまで。

お疲れ様でした。

 

 

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