かみ合わせの話
私たちが食事をする時、どの歯とどの歯のどの部分が当たっているのか、
また、前で咬んだ時は、どの歯とどの歯のどの部分がどのようにこすれているか、
あるいは、横で咬んだ時は、どの歯とどの歯のどの部分がどのようにこすれているか、
歯と歯の接触やこすれ方には基本的な決まりがあります。
この理論を咬合論と言い、これに基づいて私は患者さんの咬み合わせを診ています。
例えば、ひとつの歯に被せものを作る場合、
カチカチと真っ直ぐに咬んだ時の咬み合わせだけでなく、
前述のようなこすれ方もきちんと調整しなくてはいけません。
正しい調整のされていないかぶせものが装着されると、
いつかはその不快感に慣れてしまうことがほとんどです。
しかし、ある時、それによって、その歯自体やその歯と咬み合っている歯が
しみたり、痛くなったり、揺れてきたりするのです。
あるいは顎の関節が痛くなったり、口が開かなくなったりすることもあります。
まともな歯医者であれば咬み合わせの調整をきちんとしたうえで、
かぶせものを装着するのは当たり前なのですが、
中には『すぐ慣れますから…』と言ってそのままにしてしまう歯医者もいるようです。
お忙しいのでしょう…
これからは、万が一、カチカチと真っ直ぐに咬んだ時には違和感がなくても、
前や横にずらして咬んだ時に、ひっかかるような感じがある場合は、
必ず担当医にその旨をお伝え頂きたいと思います。
以上の話は、かぶせものを入れた時だけの話ではありません。
私を含め、われわれの歯は、日々すり減り、日々移動しています。
月日と共に、かみ合わせは誰でも変化しています。
そのかみ合わせの変化によって、
歯が痛くなったり、歯が揺れることがありますので、
歯石だけを定期的にとってもらうだけではなく、
かみ合わせの変化もチェックしてもらいましょう。