痛くない治療は、いい治療?
2021/06/07
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痛くない治療はいい治療?
なんか変な見出しで スミマセン。
誤解をまねく前に…。
決して痛い治療がいい治療だ、
という意味ではありませんから。
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痛い治療 痛くない治療
誰でも痛い治療なんかイヤです。
もちろん僕だってイヤです。
だから当院では、開業した時から、
大人も子供も全員に、表面麻酔をしてから、
注射で麻酔をしています。
吉田歯科での麻酔の方法
表面麻酔といってもジェル状のものではなく、
薄いセロテープのようなタイプのもので、
これがよく効くんです。
この製品は大きく、シール状になってます。
本来はお医者さんで、腕とか肩や腰に注射する前に貼るものです。
それを、前もって5mm四方くらいに細かく切って用意しておきます。
それを歯ぐきに貼ります。
歯茎がぬれてると、全然ひっつきません。
だから、歯ぐきをよーく乾かしてから、
ピンセットでつかみ、
そっとシールをはがして、
歯ぐきの下の方に貼り付けます。
そして、だえきで取れないように、その上からコットンをおいて、
そして待つこと3分。
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表面麻酔シールをはがしたら、
ソコににやさしく注射をします。
めちゃくちゃゆっくり、2分くらい時間をかけて、
麻酔薬を注入します。
そして、また5分待ちます。
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それから歯ぐきの上の方に、もう一度麻酔薬を注入します。
このときも、ゆっくりゆっくり、
入ってるのか入ってないのかわからないくらい
ゆっくり麻酔薬を注入します。
時間はかかりますが、こうやって麻酔をすれば、
ほぼ全員の方々から
『え?何かしたんですか?』
『え?注射したんですか?』
とおっしゃっていただけてます。
ただ、残念ながら、放置しすぎて、
ズッキンズッキン痛みが出ている人や、
ほっぺがパンパンに腫れてる人には、
ぜんぜん麻酔が効かずに、
大変な思いをさせてしまうこともあります。
スミマセン…。
てぎわよく、麻酔を効かそうと思ったら、
サッサと、ブチュッと、注射すればOKなんですが、
それはそれは、とても 痛い です。
ちなみに、治療に入る前に、表面麻酔から段階的に、
20分くらいかけてゆっくり麻酔をするのも、
いきなり、ブチュッっと麻酔するのも、
保険診療では、同じ値段です。
というより、タダ同然です。
『痛いから、麻酔だけしてください』
と言われて麻酔だけしたとします。
また、痛くて痛くて麻酔をたくさんしても
麻酔が効かなくて、その日は帰宅したとします。
それだけなら、どちらも再診料または初診料だけです。
ただし、親知らずを抜く時に、
のどの奥のほうにする、特殊な麻酔は有料です。
と、ここまでが麻酔の話。
患者さんにはとっても好評です。
でも、歯医者側からすると、微妙なんです。
治療に入るまでに15分以上かかります。
また、とても敏感な患者さんには、20分以上時間をかけます
混雑している時は、患者さんの待ち時間が
長くなってしまうわけです。
効率よく仕事ができるように、
スタッフで何回も話し合い、
どうすれば、流れがよくなるかを考えて、
ムダな動きをすこしでもなくすように努力しました。
しかしながら、
ご予約以外に急に来院される患者さんの対応をしていると、
ご予約の患者さんが怒りだします。
ご予約の患者さんを優先しすぎると、
予約外の患者さんが怒りだします。
どうしたら誰も不機嫌にならないか、
そればかりをひたすら考えながら治療しています。
そうなんです。いつもあせっていて、あわてていて、
目の前の患者さんに集中できていません。
しかし、次に待っている患者さんのために
目の前の患者さんの治療は急いでこなさないといけません。
本当は30~40分くらいかけて、ていねいに行いたい治療でも、
たった5分ですませたこともたくさんあります。
本来は1時間くらいかける処置でも、
20分くらいですませたことも何度もあります。
そんな、短時間ですませる治療なんて、
ここで、私が説明するまでもないと思います。
これって、誰が聞いても、いい治療とは言えませんよね。
かといって、いきなり麻酔注射を
ブチュッ!とするわけにもいきません。
患者さんの話をテキトーに聞くわけにもいきません。
ただ、それを要求しているのが保険治療なのです。
一般の方々からすると、
『じゃあ、1時間に1人だけ予約とるようにすれば?』
と思われるかもしれませんね。
僕が歯医者じゃなかったら、絶対そう思います。
でも、そんな事をすれば、歯医者は倒産します。
その答えを、堂々と言いずらい今の現状に、
多くの歯医者が、悩んでいると思います。
ここまでのまとめ
痛くなくても、いい治療かどうかは別の話です。
さっと終わるからといって、いい治療とは限りません。
僕が考える、いい治療とは。
まず、あなたのお話をよく聴きます。
いきなりお口の中を見られたくないのかもしれません。
悪くなった原因をしっかり調べて分析する。
今の状態をどう治すか、と、それだけを考えるのではなく、
なんで、そのような状態になったのかを
いろいろな検査を行いきちんと調べる。
その結果を、わかりやすくご説明する。
お話しだけでわかりづらければ、画像などを用いて解説する。
あなたがが悪くなった原因をしっかりと理解される。
そして、あなたが受けたい治療を、あなた自身で選択する。
ここまでを徹底的にやれば、相当な時間が必要です。
その日のうちに、アっという間に一回で治療が終わっても、
いい治療かどうかは別の話です。
患者さんからすれば、「安い、早い」と、
満足して、いい治療だったと思われるでしょうけど、
てぎわよく、短時間で行う治療の精度など、
ここで、私が説明するまでもありません。
歯科治療はファーストフードではありません。
治療するにしても、他人と並行して治療するのではなく、
あなたのためだけにお時間をご用意し、
ゆっくりと時間をかけて、ていねいに治療を行う。
なぜ、そのように悪くなったのかを考えて、
結果が長持ちするような治療を、精度にこだわって、
自分や家族がされたいように、ていねいに治療する。
このうち、どれか一つでもかけると、
たとえ高いお金を払ってきれいな白い歯をかぶせても、
高価な品物があなたのお口に入っただけで、
いい治療かどうかは、別の話です。
また、痛くなかったからといって、
これもいい治療かどうかは、別の話です。
こはここまで。