あなたは 口腔がん って知ってますか?
2019/02/23
口腔ガンとは?
お口の中にできるがんのことです。
僕は歯医者なのでもちろん知ってますが、
一般の方々からすれば、
「口の中にもがんができるの?」
と、あまり知られていません。
先日、私の所属する
中谷 泰志さんの講演をお聴きしました。
中谷 泰志さんは、口腔がん撲滅委員会
の理事をされていらっしゃる方です。
その口腔がん撲滅委員会が開催する
口腔がんシンポジウムに出席するために、
香川県の歯科医療専門学校まで行ってきました。
今日まで私は、
口腔がんに出会う頻度は限りなく少ない、
と、思っていました。
ですが、シンポジウムでのお聴きした内容は、
思ってもいなかったことだらけでした。
1 ガンの部位別 死亡率について
この表を見て下さい。
発見が難しいすい臓がんは
予想通り死亡率が高いです。
では口腔がんの死亡率は、どうでしょう。
口腔がんは46.1%です。
胃がんや子宮頸がん、乳がんの死亡率よりも高いんです。
また、アメリカの口腔がん死亡率の2.5倍です。
この差はいったい何でしょう?
2 口腔がん患者数の現状
近年、我が国の口腔がん患者数は
急激に増加してきています。
1975年には2.500人程度でしたが、
2013年には2万人にせまる勢いです。
3 口腔ガン患者数の他国との比較
次に、その口腔がんの患者数を
他の先進国と比較してみましょう。
下の図を見て下さい。
他の国々は減少傾向なのに対して、
日本だけが増加しています。
なぜ、日本だけが増加するの?
アメリカと日本との口腔がん検診の違い
では、実際にアメリカでは、どんなふうに
口腔がん検診が行われているのでしょうか。
アメリカでは国家が国民に対して、
メディア広告、新聞雑誌、
ありとあらゆる手段を用いて、
広く周知しています。
そのため、ほとんどの歯医者には、
口腔がん検診の案内と費用のポスターが
掲示されているそうです。
こんな風に。
また、特定の青色の波長の光を当てることで、
肉眼では発見できないがんを見つける装置が、
どの歯医者にもあるようです。
その結果、口腔がんの検診率は
スウェーデンで90%
アメリカで80%ですが、
日本では、たった2%の検診率です。
4 まとめ
この違いはいったい何なんでしょう?
そうなんです。
日本では、口腔がんを
初期に発見できる状況が整っていないため、
見つけた時にはすでに大きくなりすぎて、
手術しても手遅れになっている、
ということなんです。
どこにできるがんも初期は無症状ですが、
時代とともに、初期に発見できるシステムが整ってきていますので
死亡率や患者数は減少しています。
ところが、口腔がんだけは、
そのシステムが全然整ってないんです。
いや、はっきりいいます。
初期の口腔がんを、ほとんど見のがしています。
ほとんど、見すごしています。
誰が?
われわれ歯医者です。
口腔がん、皆さんも調べてみて下さい。
がんが大きくなってから手術をすれば、
たとえ、命が助かったそしても、
どんなふうになってしまうか。
べろやあごの骨を切り取らなければなりません。
食事や会話がとても不自由になります。
それだけではありません。
あなたの、ベロやあごの骨が無くなってしまったら
どうなるか。想像してみて下さい。
顔の一部が切り取られたり、穴が開きます。
考えただけでも震えてきませんか?
怖くなりませんか?
あなたではなくても、
あなたの愛する人がそうなったら、
どうしますか?
私には耐えられません。
さっそく、初期の口腔がんを発見できる
検査機器を導入しました。
吉田歯科に来られるすべての患者さんに、
口腔がんについて、細かく説明し、
必要あれば口腔がん検診を行います。
今日はここまで。
追記
1980年代に有名だった女性アイドルが
舌がんのステージ4だと報道されました。
昨年12月から行っている当院でのがん検診では、
幸い、どの患者さんも大丈夫でしたが、
一刻も早く、日本の多くの歯科医院で、
口腔がん検診ができる環境になれば…
と、願っています。