親知らずって、とにかく早く抜いたほうがいいの?
親知らずを抜いたら、すごく痛いよー、
親知らずを抜いたら、顔がはれるよー、
親知らずを抜かないと、歯ならびが悪くなるよー、etc…
というふうに、あなたも色々と親知らずについて、
こわーい話を聞いた事があると思います。
今日は、その親知らずについて、
本当のところを書きたいと思います。
親知らずとはそもそも、なんなのか。
原始時代の人間にさかのぼります。
そのころの人間は、動物を狩り、
硬い肉や木の身を食べていたので、
かむ力も顎の骨も大きく発達していました。
だから普通に親知らずは生えていたんです。
しかし、人間の進化にともない、
やがて農耕がはじまり、
やらかいものいを食べるようになりました。
その結果、顎の骨が小さくなり、
親知らずの出てくる場所が、
なくなってしまったのです。
『自分のはえる場所がないのに、はえようとする』
これが、親知らずが嫌われる原因なんです。
じゃあ、親知らずはみんな抜いたほうがいいの?
いえ。そんなことはありません。
たとえばこのように、
フツーにまっすぐはえていて、
ちゃんとかみあっていれば、
まったく問題ありません。
まっすぐはえていない場合はどうなの?
よくあるパターンは、親知らずが、
完全に埋まっている場合です。
これは、別の症状で歯医者に行き、
レントゲンで偶然に知ることが多いです。
このように、完全に埋まっている場合は、
これまでに全く何もなければ、
僕の経験上、ほとんど何も起こりません。
また、歯ならびが悪くなりませんか?
と質問される患者さんもおられますが、
現在のところ、矯正学会では、
親知らずが歯ならびに与える影響は否定されています。
もうひとつのパターンは、
前の方にななめになって、
一つ前の奥歯に、ひっかかっている場合です。
この場合は、まわりの歯ぐきが、
はれて痛くなる経験をくり返すことが多く、
『いつかは抜く決心をしてくださいね』
とお伝えする事にしています。
また、親知らずが虫歯になる場合もあります。
この場合、私が抜歯をすすめるかどうかは、
その虫歯の程度と、
『ひっかかっている親知らずの位置』
によって決めています。
親知らずの一部分だけが黒くなっている場合は、
様子をみていても差し支えないでしょう。
しかし、小さくても穴が開いているような虫歯では、
『なるべく早めに抜く決心をしてくださいね』
とお伝えしています。
なぜかというと、
最悪の場合、一つ手前の奥歯の根元まで、
虫歯でやられてしまいます。
こうなった場合、親知らずと一つ手前の奥歯の両方を、
抜かなくてはならない場合があります。
これはとてもとても残念な話です。
この写真では、親知らずも、その手前の奥歯も
両方が虫歯になっていますが、
親知らずは無傷なのに、親知らずのせいで、
手前の歯だけ大きい虫歯になることもあります。
この、ななめにはえて、
手前の歯にひっかかっている親知らずの場合、
はえ方と位置によっては、
『親知らずではなく、その手前の歯を失う』
ということもあります。
もう一度言います。
『ひっかかっている親知らずの位置』
によっては、手前の歯を失います。
そんな親知らずの患者さんには
『早急に抜いた方がいいです!』
と、強く抜歯をすすめています。
あなたの親知らずはどうですか?
ボクの下の親知らずは左右2本とも
しょっちゅう歯ぐきがはれるタイプだったので、
昔、勤務先の先輩に抜いてもらいました。
その先輩は、とっても抜歯が上手で、
抜いたあとも、ぜんぜん腫れないし、
ぜんぜん痛くなかったです。
あなたの親知らずは大丈夫ですか?
読んでいただきありがとうございました!