どこにも虫歯がない、って言われたのに、何でこんなに痛いの？
2017/07/06
歯が痛くて勇気を出して歯医者に行ったのに、
何もしてくれないし、どこも悪くないと言われても、
じゃあ、この痛いのはずっと我慢しないといけないの？
そんな経験をされた方も多いと思います。
でもね、レントゲン見ても、歯を拡大鏡でよーく見ても、
あなたの歯は本当に何もなっていないんです。
じゃ、何でこんなに痛いのか？
歯が痛くなる場合について、分類しながら説明します
虫歯
歯の本体が表面から虫歯菌が出した酸に溶かされてます。
これは鏡を見れば自分でも分かる場合がほとんど。
いわゆる虫歯です。
歯周病
歯ぐきがこんなに腫れて、
場合によっては膿が出てきそうな感じがあります。
いわゆる歯周病です。これも痛い。
この場合も、だいたいが鏡を見れば自分でわかります。
根っこの病気
もうひとつ。これも歯ぐきが腫れていますが、
歯周病と違って、歯の根元でプクーっと丸く腫れてます。
(しかし、この場合は全然痛くない場合もあります。)
この場合も舌で触ったり、鏡を見れば自分でわかります。
歯のひび割れ
患者さんは、舌さわりがおかしい、
とおっしゃることが多いです。
写真で見ればよくわかりますが、
よく見ないとわかりにくいです。
これは、ヒビの入り方によっては、
抜歯になることもあります。
ひびが入る一歩手前の段階だと、
歯に光を当てて念入りに調べるのですが、
それでもわからない時もあります。
舌さわりもなんともないし、
鏡を見てもわからないし、
でも、こんなに痛いんだから、
どこか奥の方で変なことになってるんじゃないか？
銀歯のすきまから、おかしなことになってるんじゃないか？
と思って歯医者に来たわけですよね。
でも、どこも悪くないんです。
そんな場合は、多くの場合、ここを痛めています。
歯根膜
聞いた事がないと思いますが、上の図の点々の部分です。
これは歯の根元と骨とをつないでいる繊維で、
かむ時に加わる力を受け止めるクッションのような役割をしています。
また、痛覚や触覚などの感覚を伝える神経線維を多く含んでいます。
お分かりいただけるでしょうか？
要するに、自分では気がつかないけれど、
食事以外の時でもずっと無意識に歯と歯をくっつけていたり、
舌で歯をずっと押していたりするだけでも、
突然歯が痛くなることがあるのです。
また、夜寝ている時の自分では気がついていない、
かみしめ、くいしばり、はぎしり、などによっても、
突然歯が痛くなる事があります。
硬い物が好きで、スルメ、ビーフジャーキー、
軟骨やホルモン、硬いせんべいや硬いパンなどをよく食べる人や、
ガムをよくかむ人は、特に注意が必要です。
え？でも硬い物をよく食べた方が、
歯が強くなるってテレビでいってたし、
ガムをよくかんだり、３０回かんだ方が健康にいいってよく聞くけど？
いやいや、あなたのその知識は間違っています。
そんな理論が正しいのであれば、
歳をとるごとに歯はきたえられて強くじょうぶになり、
お年寄りの歯はみんな最強、ということになってしまいます。
そんなこと、ありえませんよね。
硬い物を食べるにしても、毎日はいけません。
ガムをかみたければ、歯と歯が接触しないように、
やさしくやらかく、ゆっくりかんで下さい。
コチラにも詳しく書きました
➡http://free-dentist.com/bite/
このように、虫歯もない、歯周病ではない、
根っこの病気もない、ひび割れもしていない、
でも痛い！という場合は、
この歯根膜を痛めているか、
ひび割れの一歩手前がほとんどです。
そして残念ながら、この場合は、
せっかく歯医者に来ていただいているのに、
何も出来ない事がほとんどです。
何もすることはできないの？
薬を飲む
できることと言えば、痛み止めや、
場合によっては化膿止めを飲んでもらうこと。
歯を削る
痛い歯と、その相手の歯を数ミクロン削って、
歯と歯があたらないようにする。
この２点だけしかないんですよね、残念ながら。
でも、安静にしていれば、ほとんどの方は数日でマシになり、
１週間もすれば、ウソのように症状がなくなってしまいます。
しかし場合によっては、このように、
歯の根元を流れている血管と神経が押しつぶされて、
歯の内部を流れていた血管と神経が腐ってしまったり、
膿がたまって、さらに爆発的な痛みがでる場合があります。
そうなってしまった場合は、歯の上から穴を開けて、
治療を開始しなければなりません。
根っこの治療についてはコチラを参考にしてください。
➡http://free-dentist.com/root-canal/
たまに、こういう例もあります。
自分では気がついていない、かみしめなどによって、
歯と歯が押し合って歯根膜に力がかり、
歯根膜を痛めてしまうということは、
それだけあごのまわりや、
顔や首のまわりの筋肉も使い続けてきたわけです。
そうなると、このように、ほっぺの中の奥の方がピリピリ痛い、
腕ー肩ー首筋から頭の芯までがキーンと痛い、
とにかく頭がガンガン痛い、
目の奥の方が痛くて目玉が飛び出してきそうなくらい痛い、
顎の下の内側がつっぱるように痛い、
などなど、色々な事をおっしゃる患者さんもおられます。
年齢層は吉田歯科では中高年の女性に多いです。
その場合は、お口の中から、
その痛い周辺の筋肉に向かって麻酔注射をしてあげると、
翌日、ウソのように痛みがなくなる場合があります。
この場合、たまにほっぺや目の周りや唇の一方が
ダラーンと垂れ下がる場合がありますが、
それだけこれまでに無意識のうちに力をかけてこられた、
という事なのでしょう。
でも大丈夫、心配いりません。
吉田歯科でこれを行った患者さんは全員、翌日には元に戻っています。
マヌケに見られないように口元をシャキッとしなさい、
と、昔から子供に言い聞かせてきたように、
以前からの日本の風習といいますか、
習慣や、ならわしも関係がある気がしてなりません。
例えば、どんな分野でも根性論で耐える事を賞賛したり、
スポーツでも練習に耐え、全てをやり遂げるところを美徳化したり、
野球でいう完投や完封などは、それの象徴だと思います。
高校野球で炎天下のもと、
一人のピッチャーが最後まで投げ切った姿を見て感動する、
というのは外国人からすれば、理解しがたいようです。
海外に目を向けてみて下さい。
アスリートでも楽しみながら練習し、
決して無茶な練習はしません。
また、メジャーリーガーでは、
たとえ勝っていても１００球投げれば交代するし、
選手を商品、肩や体は消耗品として扱います。
日本人も、自分のあごや歯は商品で消耗品だ、
という価値観を持った方がいいと私は思います。
咬んだ方が歯が強くなる、
という思い込みは今すぐ捨てて下さい。
悪くなったら歯医者でなおしてもらおう、
という考えはやめておきましょう。
歯医者は歯をなおせません。
そうなんですよ。歯医者は歯を治せないんですよ。
詳しくはコチラ➡http://free-dentist.com/not-over/
元々の、あなたのそのままの歯が一番です。
歯が悪くならないようにするにはどうすればいいか、
正しい知識と正しい管理法を、ぜひ歯医者に聞いて下さい。
少しお題からずれた話になってしまいましたが、
虫歯でも歯周病でもないのに、
歯がしみたり、ジンジンしたり、
ズキズキしたりすることはありますよ、
というお話しでした。
最後に、これは個人的な見解で、
全ての論文を精査したわけではありませんが、
かみすぎることと、耳鳴りやメニエル症候群、また、
かみすぎることと、顔面神経痛や三叉神経痛とは、
何らかの関連があるように思っています。
あなたの歯がいつまでも健康であります様に。
読んでいただきありがとうございました！
